一般図(地図帳のページを思い浮かべてください)は、すべてを伝えようとします。道路はどこにあるか、地形はどうなっているか、都市はどこに位置しているか、国境はどこを走っているか。主題図はその逆です。人口密度、選挙結果、降水量など、ひとつのテーマだけを取り上げ、それ以外の地理情報は静かな背景に変えてしまいます。ページ上のすべての要素は、そのひとつのデータセットを読みやすくするために存在しています。
主題図は、ジャーナリストが選挙結果を説明する手段であり、疫学者が感染拡大を追跡する手段であり、都市計画担当者がインフラの規模を見積もる手段であり、プロダクトチームが進出すべき市場を決める手段です。何かの地図を見た瞬間に、表計算ソフトでは見落としていたであろうパターンを直感的に理解できた経験があるなら、それが主題図です。
このガイドでは、主題図とは何か、よく目にする主な種類、どの場面でどれを使うべきか、そしてMapAtlas Maps APIを使ってどのように作成するかを解説します。
「主題図」を主題図たらしめるもの
一般参照図(アトラスのページを思い浮かべてください)は、多くの要素を同時に表示し、それらをほぼ同等に扱います。主題図は地理情報をベースレイヤーへと格下げし、ひとつのデータセットを前面に押し出します。ベースレイヤーは意図的に控えめにされ、グレーアウトされた境界線や淡い道路ネットワークになっていることが多く、データを担う色、ドット、シンボルへと視線が自然に誘導されます。
優れた主題図を成り立たせる要素はふたつあります。第一に、明確なテーマです。ひとつの変数を丁寧に表現するほうが、5つの変数が注意を奪い合うよりも優れています。第二に、誠実な視覚表現です。配色、分類、シンボルタイプの選び方は、データに潜むパターンを明らかにするものであるべきで、ありもしないパターンを作り出してはなりません。
主題図の主な種類
コロプレス図
コロプレス図は、国、州、郵便番号、ヘックスグリッドなど、事前に定義された地域を、値を表現する色で塗り分けます。データがすでに行政境界に紐づいており、かつ正規化されている場合に効果を発揮します。地域別の投票率はその典型例です。データは必ず正規化してください。コロプレス図で生の件数を扱うと、大きな地域が誇張され、小さな地域のパターンが隠れてしまうからです。
ドットマップ
ドットマップは、ある現象がN回発生するごとに1点のドットを散布します。人口を扱うドットマップであれば、人口1,000人ごとに1点のドットを配置するといった具合です。読み手は、数字を計算したりラベルを確認したりせずに、ドットの密集具合から密度を読み取れます。生の件数を扱うのに適しており、コロプレス図にありがちな面積バイアスの問題を回避できます。
比例シンボル図
比例シンボル図は、各地点に円(や他の図形)を配置し、値に応じてサイズを変えます。店舗ごとの顧客数、地震の規模、都市別の人口など、地点に紐づく生の件数の表現に最適です。読み手はふたつの円を見比べるだけで、ふたつの都市を直接比較できます。それぞれの都市が物理的にどれだけの面積を占めているかは関係ありません。
等値線図とヒートマップ
等値線図(コンター図とも呼ばれます)は、連続的な面の上に、等しい値を持つ点を線や帯でつないで描きます。地形の等高線、気象の等温線、気圧の等圧線はすべて等値線図です。Web上のヒートマップはこれに近い手法で、点データを連続した色付きの面に滑らかに変換します。都市内のどこに人の活動が集中しているか、Webサイト上で利用がどこに偏っているかを示すのに便利です。
ダジメトリック図とカルトグラム
ダジメトリック図は、土地利用などの補助データを使って、コロプレス図の値を実際にその現象が起きている領域へと集約することで精度を高めたものです。カルトグラムは、データに合わせて地域の大きさを歪めます。人口の多い国は、物理的な面積に関係なく地図上では大きく描かれます。標準的な種類では誤解を招く場合に、いずれも強力な手段となります。
適切な種類の選び方
まずはデータから考えます。行政区域に紐づく率やパーセンテージならコロプレス図、地点に紐づく生の件数なら比例シンボル図、ある領域にわたる生の件数ならドットマップ、気温や標高のような連続変数なら等値線図、物理的な面積がメッセージを歪めてしまう場合はカルトグラム、といった具合です。
次に配色を選びます。順序のあるデータには連続スキーム(明から暗へ)が適しています。ベースラインに対する変化など、意味のあるゼロ点を持つデータには発散スキーム(中央で出会う2色)が向いています。順序のないカテゴリにはカテゴリカルパレットを使います。これらいずれの場合も、ColorBrewerのパレットが標準的な参照先であり続けています。
MapAtlasで主題図を作る
MapAtlas Maps APIは、上で挙げたいずれの種類にも対応できるベクタータイルとスタイリング機能を提供しています。行政境界を含むベーススタイルを読み込み、データをGeoJSONとして取得し、コロプレス図ならfillレイヤー、比例シンボル図ならcircleレイヤー、密度の可視化ならheatmapレイヤーを追加します。
行政区域を扱う場合のもっとも簡単なワークフローは、境界をGeoJSONとしてホストし、地図化したい値を各フィーチャーのプロパティとして付与し、fillレイヤーにdata-drivenの色式を設定して、そのプロパティをカラーランプに対応付けるというものです。点データの場合は、値をプロパティとして付与し、circle-radius式で値に応じたサイズを指定し、情報量の多い地図でも見やすくするためにcircle-strokeを併用します。
インタラクティブな分析(地域をクリックして正確な数値を表示する、カテゴリでフィルタリングする、時間軸でアニメーション表示するなど)が目的であれば、Maps APIに小規模なクライアント側の状態管理レイヤーを組み合わせます。ブログ記事やレポート用に1回だけ使う静的な地図であれば、同じAPIで静的画像をレンダリングし、PNGとして保存できます。
住所をシンボル配置に必要な緯度経度に変換するには座標検索ツールが使えますし、アクセシビリティをテーマにした地図のために、ルーティングAPIで到達圏(ドライブタイムキャッチメント)を計算することもできます。
避けるべきよくある間違い
もっとも多い失敗は、コロプレス図で生の件数を使ってしまうことです。面積が2倍の地域は、それだけで2倍重要に見えてしまいます。次に多いのは、色のクラス分けが多すぎてパターンが見えなくなることです。通常は5〜7クラスで十分です。3つ目は色覚多様性への配慮を欠くことです。デフォルトの赤緑パレットは、相当数のユーザーにとって判読不能です。
主題図はひとつのコミュニケーション手段です。数値の扱いは誠実であるべきで、視覚表現は明快であるべきで、読み手は数秒でパターンを掴めるべきです。それが実現できたとき、1枚の地図は表計算ソフトの1,000行を置き換えてしまうのです。
よくある質問
主題図とは何ですか?
主題図とは、人口密度、平均所得、選挙結果、降水量など、ひとつの特定のテーマの空間的なパターンを示すために設計された地図です。道路、河川、都市、地形といった多くの要素を同時に示そうとする一般図とは異なり、主題図はそれ以外の要素をすべて背景に下げ、ひとつのデータセットに焦点を当てます。色や濃淡、シンボルを使って、そのデータを一目で読み取れるように表現します。
主題図の主な種類は何ですか?
もっとも一般的な4種類は、コロプレス図(国や郡など事前に定義された地域を値に応じて塗り分ける)、ドットマップ(現象N回ごとに1点のドットを配置する)、比例シンボル図(各地点に円や四角を配置し、値に応じてサイズを変える)、等値線図(温度の等温線や地形の等高線のように、等しい値を線や帯で描く)です。ヒートマップやダジメトリック図も広く使われるバリエーションです。
コロプレス図はいつ使うべきで、いつ避けるべきですか?
データが行政区域に紐づいており、かつ正規化されている場合(生の件数ではなく、率、パーセンテージ、人口あたりの値など)にコロプレス図を使ってください。生の件数には使わないでください。なぜなら、面積が大きい地域というだけで重要に見えてしまうからです。生の件数を表現したい場合は、比例シンボル図やドットマップのほうが適しています。

